ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、この24日で1年となりました。ロシアの侵攻開始以来、ロシアやウクライナ両国からの小麦やトウモロコシの輸送が途切れ、価格が急騰し、食糧危機が懸念されています。米や小麦のように、我々の生活に欠かせなくなっているトウモロコシ。トウモロコシはお好きですか?子供の好きな野菜の上位に入っているそうですよ。
トウモロコシを知らない人はいないと思いますが、あまり詳しくはないのでは?
ということで、今回はトウモロコシについてお話ししてみます。
トウモロコシ(玉蜀黍)は、アメリカ大陸原産のイネ科の一年生草本。花期は6~7月です。16世紀末にポルトガル人によって日本に伝わり全国に広まりました。
トウモロコシの名の由来は、「唐(舶来の意味)のモロコシ」で「トウモロコシ」と呼ばれるようになったそうです。地方により呼び名が違い、トウキビ(唐黍)と呼ばれたりもしています。
トウモロコシと言えば、「遺伝子組み換え」が思い浮かびますね。
遺伝子組み換えは、さまざまな作物で行われています。病害虫に強い遺伝子を組み込むことにより、潜在的な作物の高収量性を引き出すことができるので、世界的な人口増加による食糧不足にその利用が期待されています。
ただ、その一方で、食品や飼料としての「安全性や生物多様性に及ぼす影響」が懸念されています。
病害虫に強い遺伝子を組み込んだ「遺伝子組み換えトウモロコシ」は交雑を作らないと言われ、世に出たようですが、すでに交配しているとのこと。品種改良(交配)による新しいスイートコーンも出てきています。今後、新しいタンパク質などによるアレルギーが出てくるのが心配です。
※交雑と交配の違い
・交雑とは、交配の一種、遺伝子型が異なるものどうしをかけあわせたもの。
・交配とは、2個体間の受粉(受精)を通じて次世代を作ること。
ところで、トウモロコシの実は偶数個で、実とヒゲ(雌蕊:メシベ)の数が同じって、知っていますか?トウモロコシの実の付き方、少し解りにくいので割って撮影しました。
あまりキレイに揃っていませんが、普通、芯の周りに実が、2粒×6列=12粒 並んでいます。2粒1ペアで、2粒おきに、溝が少し広くなっているのが解りますか?
以下は、トウモロコシのヒゲです。ヒゲは雌蕊(メシベ)です。1個の粒からヒゲは1本出ています。1粒に1本のヒゲが付いています。解りますか?
つまり、粒(種子)の数だけヒゲ(雌蕊)が有り、種子は2粒ずつで形成されているので、ヒゲの本数も偶数です。ただ、皮を剥く際、ヒゲのほとんどが切れてしまいすので、全部は付いていません。
左:トウモロコシ雌花 右:トウモロコシ雄蕊
阿蘇トウモロコシの実 乾燥中
●トウモロコシの薬草利用での効能・効果
トウモロコシの収穫期に、雌花の長いひげ状の花柱(かちゅう)を採取して、日干しにして乾燥します。これを生薬として、南蛮毛(なんばんもう)とか玉蜀桼蕊(ぎょくしょくきずい)と呼びます。
薬効は利尿(りにょう)※、腎機能の改善、むくみ、黄疸(おうだん)、肝炎、胆のう炎、胆結石、糖尿病などです。毒性の少ない安全な利尿剤なので連続して服用しても副作用は少なく、むくみにも効果的に用いられています。 また、緩下(かんげ)作用があるので便秘の改善に、お茶の代わりに用いられます。
※利尿と利水の違い
・利尿とは、尿により余分な水を、体外に排泄させることです。
西洋薬ではむくみをとるために「利尿薬」が使われます。ただ、利尿薬は、浮腫(むくみ)が無くても、体内の水を尿で出します。
・利水とは、体内の水の偏りを調整し、多ければ排泄を促すことです。不足している体液
を補いことはできません(不測の時は、飲食、点滴で補う)
漢方薬ではむくみをとるために「利水剤」を用います。体内の水(体液)のバランスを整え、浮腫などの水の多い部分から不足している部位に移動し、余分な水(体液)を尿で出します。
<漢方薬の利水薬>
例えば、二日酔いで胃に水が多く、喉が渇いている時、漢方薬の利水剤「五苓散」を飲むと、胃の水が喉に移動し喉の渇きを改善、胃のムカつきも消えます。
五苓散は、車酔いによる嘔吐、嘔吐下痢の改善にも効果があります。お試しください。
女性薬の「当帰芍薬散」にも、この五苓散の生薬が一部含まれています。
●トウモロコシの用途
現在、トウモロコシは、世界各地で食糧や家畜用飼料、バイオエタノール原料などに利用されており、米、小麦と並び、世界三大穀物の一つです。
一般的にコーンスターチと呼ばれているトウモロコシデンプンは、様々な食用粉に利用されています。
焼き菓子などの小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えると、サクッと軽い食感に仕上りますし、温度が低くなっても「とろみ」が持続するので、カスタードクリームなどの製菓に使用されています。
料理用の「××粉」を購入するときに、包装裏の原材料名を確認してみてください。トウモロコシデンプンが含まれていませんか!? ちなみに、「もち取り粉」ってご存知ですか?つきたての餅を扱いやすくするために餅や手につける粉です。「手粉」とも言いますが、これもトウモロコシデンプンです。
●トウモロコシ料理のヒント
① SDGsスープストック
トウモロコシの実を食べた後の芯、捨てていませんか。トウモロコシの芯には、沢山の糖分(キシリトールなど)と、旨味成分(旨み:グルタミン酸、甘み:アラニン)が含まれています。捨てずに輪切りして、茹でると甘いスープストックができます。スイートコーンスープのベースにするとスープが一層甘くなります。
② 阿蘇トウキビのおいしい食べ方
スイートコーンは、芯が柔らかですが、「阿蘇トウキビ」は芯が硬く、種子も硬いので
現在はあまり食用には用いません。ただ、種子を粗挽きにし、トウモロコシご飯などにして食べられています。「阿蘇トウキビ」の焼きトウキビは、噛めば噛むほど美味しいです。3cmぐらいに切って食べてみてください。噛むことで脳が刺激され、痴呆の予防にもいいのでお試しください。
③ インド式ポップコーンの作り方
ポップコーンを作るときには油をタップリ使いますね。ただ、油が気になる方は、油の代わりに砂を使ったポップコーンを作ってみて下さい。
よく洗って何度か焼いた「砂」を中華鍋に入れ、熱くなったところに乾燥したトウモロコシの実と少量の塩を投入。インド式のポップコーン作りです。油を使わないのでヘルシーです。ポップコーンが弾けるので気をつけて!!砂は料理用のザルでふるって除いてください。砂をふるった後でも、少し地球の、自然の、味がしますよ!?
また、「硬い阿蘇トウキビの実」を使って、普通の方法で作っても、ポップコーンができました!!弾けなかった実も旨味や甘味があり美味しかったです。
④ 簡単コーンスープ:友人のHPから
生のトウモロコシの実をおろし金で擦り、好みによって裏漉しして皮などを取り除きます。これに牛乳を加え温めて、好みで塩とコショウで味を調えます。
SDGs精神を発揮し、作る労力や努力を想い、食べ物をムダにせず「食品ロス」をなくしましょう。いろいろ工夫して、楽しみながら「SDGs省エネクッキング」をお試しください。
SDGsの目標達成期限(2030年)まで、残り10年を切っています。私たち一人ひとりがSDGsを自分の事として取り組むことが大切です。
そして、世界の平和のために私たちができること。
「力と力の対決」でなく「互いの目と口を見て、互いの言い分を聞き、互いの理解できる部分を増やす対話」で、世界が平和になりますように。
ロシアとウクライナの戦闘、ミャンマーの内戦、世界中の争いの早い終結を心より祈っています。
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