第53回 ハナスゲ
- TAMTAM
- 3月4日
- 読了時間: 4分

皆さん、風邪などひかれていませんか?
私は2月17日に、温かなネパールのカトマンズ盆地の南、パタン(Patan)から戻り、気温差10℃以上、疲れのせいもあってか、さっそく風邪を引きました。親父とお袋の法事が実家であり、行けるかどうかと気をもみましたが、「五苓散」「五虎湯」「麻黄湯」を頓服で飲み、鼻水をどうにか止め、咳も随分と治ったので、無事、法事に参加できました。
漢方薬は、頓服で良い効果を得ることができる薬ですね。ネパールでも、現地の人の涙目に「五苓散」を、肩こり・頭痛に「葛根湯」を1包飲んでもらい効果がありました。寝ている時、ふくらはぎの筋肉が攣った際も、1包の「芍薬甘草湯」で治め、安眠できました。
というわけで、今月は、「桂枝芍薬知母湯」「酸棗仁湯」「白虎加人参湯」「消風散」「滋陰至宝湯」「滋陰降火湯」「辛夷清肺湯」などの漢方薬に処方されている「知母(チモ)」の原植物「ハナスゲ(花菅)」について書いてみます。
ハナスゲはユリ科の多年草植物です。植物全体を観るとユリ科には見えませんが、ハナスゲの小さな花をよく見るとテッポウユリを小さくしたような形で、ユリ科だなと感じます。
ハナスゲの花は夕方咲くので見過ごすことが多いです。花期の5~6月、夕方5〜6時頃、観察してみてください。日当たりがよい山野に生育しています。私が借りている鉄砲小路の畑にも生育しています。
➊ハナスゲの花

➊ハナスゲの花(拡大)

➌ハナスゲ(全体)

➍ハナスゲの新芽:ユリの新芽に似ています

薬用部位には根茎を用い、乾燥したものを生薬名で「知母(チモ)」といいます。
「知母」という名の由来は、「身寄りの無い薬草取りの老婆が、自分を母のように慕ってくれる夫婦に“母の心を知る息子に巡り会えた”と、ハマスゲの根を薬草であると教えた」ことに由来すると言われています。
「知母」の成分はステロイド配糖体のチモサポニン類、フェノール類のキサントン配糖体のマンギフェリン等が含まれ、「血糖降下」「抗菌」などが報告されていますが、この効果は西洋医学的な効果です。
漢方の、清熱瀉火(熱を下げる、炎症を鎮める)、滋陰潤燥(水:津液)を滋潤し、燥(乾)を潤す効能とは随分異なります。
西洋医学的なことを主に学ぶ医学部、薬学部の人々にとっては理解しにくいといころですが、食で「薬膳」を学ぶ人々には意外と分かりやすいのではないかと感じています。食を学ぶ方々、如何でしょうか?
<漢方薬の効果的な飲み方の一例>
・インフルエンザに感染しそうだと感じたら、直ぐ「麻黄湯」を1包。
・ゾクッとし風邪かなと感じたら、直ぐ「葛根湯」1包飲んで感染しないように。
・まだ風邪が治っていないと感じたら2時間後に再度1包を服用。
1日3回、食後服用では効果を感じにくいのが「葛根湯は効かない」と言われる理由かもしれません。
風邪かなと感じたら直ぐ1包、1日分(3回)を2時間おきに飲めば十分効果があります。
風邪を引いてしまってから「葛根湯」や「麻黄湯」を飲んでも効果は薄いです。
「漢方薬は効かない」と言われる理由なのでしょうね。とにかく早めに服用することをお勧めします。
ただ、薬について疑問があれば、薬剤師に相談し、薬と上手に付き合って病気を早く治しましょう。
昨今、病院でよく処方される「葛根湯(水抽出エキス粉末)」は、胃に優しくマイルドで良いという方もいますが、私は効果が弱い気がします。「エキス濃度」が薄くなっているのではないかと感じています。
30年位前「A社の葛根湯」は、1回に3包飲まないと効果が無いほど「エキス濃度」が薄かったです。
A社に頼まれ私が分析したところ、残念ながら、A社の「エキス製剤の漢方薬」は、B社のモノに比べ、全体的に「生薬のエキス量が少ない」という結果でした。その後改善されましたが、また30年前の状態に戻っているような気がして危惧しています。
2月の大寒波も終わり、暖かくなってスギ花粉のシーズン到来です。
花粉症の改善や予防にはフラボノイド類を含む葉物野菜類を多めに食べましょう。秋に収穫した菊の花(市販では菊花、茶菊)なども、花粉症による「目のかゆみ、涙目、鼻水」を抑える効果があります。お試しください。私も2/26から「菊花茶」を作って飲んでいます。
次回は、4月1日(火)投稿の予定です。どうぞよろしくお願いします。
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